外国人労働者を採用する企業は、外国人雇用状況の届出が義務付けられています。
この手続きを怠ると、罰則の対象になる可能性があるため、適切な方法で対応することが重要です。
本コラムでは、外国人雇用状況の届出とは何か? どの企業が対象か? いつ・どこに・どう提出すればいいのか? を分かりやすく解説します。
また、届出を忘れた場合のリスクや、企業が注意すべきポイント についても詳しく紹介。
外国人を採用したい企業の皆様が、適切に届出を行い、スムーズな雇用管理を実現できるようにサポートします!
目次
1. 外国人雇用状況の届出とは? 企業が知るべき基本情報
外国人雇用状況の届出とは、企業が外国人労働者を雇用した際に、ハローワークへ報告する義務のことです。
「外国人雇用状況の届出制度」は、外国人労働者の適正な雇用管理を目的として2007年に導入されました。
外国人雇用状況の届出の目的
外国人雇用状況の届出は、不法就労の防止 や 外国人労働者の雇用実態の把握 を目的としています。
政府が適切な雇用政策を実施するために必要な情報であり、適切な雇用環境の整備にもつながります。
外国人雇用状況の届出が義務となる企業とは?
外国人を雇用するすべての事業主(個人事業主含む)に外国人雇用状況の届出が義務付けられています。
ただし、「特別永住者」や「外交官」など、一定の在留資格を持つ外国人は届出の対象外となります。
外国人雇用状況の届出をしなかった場合の罰則
外国人雇用状況の届出義務は、「雇用対策法第28条」および「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」に基づいています。
この法律には、「事業主は、新たに外国人を雇い入れた場合、または雇用する外国人が離職した場合、厚生労働省令で定める事項(氏名・在留資格・在留期間など)を確認し、厚生労働大臣に届け出なければならない」 と明記されています。
この届出を怠ると、30万円以下の罰金が科される可能性があるため、確実に提出することが重要です。
外国人雇用状況の届出の対象となる外国人は?
ではどのような外国人を受け入れる際に届出の対象になるのでしょうか。
結論としては日本の国籍を有しない方、もしくは「特別永住者」(在日韓国・朝鮮人等)ではない方で、在留資格「外交」、「公用」以外の下記の在留資格の全ての外国人を雇用する場合、もしくは離職の場合は届出が必要となります。
外国人雇用状況のハローワーク届出の対象となる在留資格
・教授
・芸術
・宗教
・報道
・投資・経営
・法律・会計業務
・医療
・研究
・教育
・技術
・人文知識
・国際業務
・企業内転勤
・興行
・技能
・技能実習
・文化活動
・短期滞在
・留学
・就学
・研修
・家族滞在
・特定活動
・永住者
・日本人の配偶者等
・永住者の配偶者等
・定住者
外国人雇用状況の届出の提出方法|いつ・どこに提出する?
外国人雇用状況の届出は、外国人労働者を雇用・離職した際に、企業がハローワークへ提出する義務のある手続きです。提出期限や提出場所を守らないと罰則の対象になる可能性があるため、適切な手順を理解し、スムーズに対応しましょう。
外国人雇用状況の届出方法については、対象となる外国人が雇用保険の被保険者となるのか、そうではないのかによって使用する様式や届出先となるハローワーク、届出の提出期限が異なりますので、それぞれで解説をしていきます。
雇用保険の被保険者となる外国人について届け出る場合
【雇入れ時】には下記が必要となります。
届出事項 | 氏名 在留資格 在留期間 生年月日 性別 国籍・地域 資格外活動許可の有無 在留カード番号 雇入れに係る事業所の名称及び所在地など、取得届に記載が必要な事項 |
---|---|
届出方法 | ハローワークに提出、もしくは電子届出 |
届出先 | ハローワーク |
届出期限 | 翌月10日まで |
「17」~「22」欄の外国人の情報の記入が必要となります。
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雇用保険被保険者資格取得届(様式第2号)
https://hoken.hellowork.mhlw.go.jp/assist/001000.do?screenId=001000&action=koyohohiLicenceLink
【離職時】には下記が必要となります。
届出事項 | 氏名 在留資格 在留期間 生年月日 性別 国籍・地域 資格外活動許可の有無 在留カード番号 離職に係る事業所の名称及び所在地など、喪失届に記載が必要な事項 |
---|---|
届出方法 | ハローワークに提出、もしくは電子届出 |
届出先 | ハローワーク |
届出期限 | 翌日から起算して10日以内 |
表面の「住所(被保険者の住所又は居所)」欄の他、裏面の「14」~「18」欄に外国人の情報の記入が必要になります。
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雇用保険被保険者資格喪失届(様式第4号)
https://hoken.hellowork.mhlw.go.jp/assist/001000.do?screenId=001000&action=koyohohiLicenceLink
雇用保険被保険者とならない外国人の届出
【雇入れ時・離職時】には共通で下記が必要となります。
届出事項 | 氏名 在留資格 在留期間 生年月日 性別 国籍・地域 資格外活動許可の有無 在留カード番号 雇入れ又は離職年月日 雇入れ又は離職に係る事業所の名称、所在地等 |
---|---|
届出方法 | 届出様式はハローワークの窓口で配布しているほか、厚生労働省ホームページからダウンロードすることもできます。 |
届出先 | ハローワーク |
届出期限 | 雇入れ、離職の場合ともに翌月の末日まで。 |
下記の1~10の届出事項に外国人の情報を記載して届け出てる必要があります。
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引用:(外国人を雇用する事業主の方へ)外国人雇用はルールを守って適正に
https://www.maff.go.jp/j/keiei/foreigner/attach/pdf/index-50.pdf
外国人雇用状況届出の電子申請について
外国人雇用状況の届出は、ハローワークへの持参や郵送に加えて、「電子申請」にも対応しています。
電子申請を活用することで、事業者はオフィスにいながら迅速に届出を行うことができ、業務の効率化につながります。
外国人雇用状況の届出ー電子申請のメリット
- 24時間いつでも申請が可能(ハローワークの受付時間に関係なく対応できる)
- 書類の持参や郵送の手間が不要
- 過去の申請履歴をオンラインで管理できる
https://www.e-gov.go.jp/
外国人雇用状況の届出の注意点
はじめにも説明したように、そもそも届出をしなかったり、届出に虚偽の報告があったりした場合には30万円以下の罰金が科されることがあります。
必ず届け出るように、これまで届出ていなかった事業者に関しては、早急にハローワークに連絡し、指示を仰ぐことが好ましいでしょう。
また注意が必要なのが、説明しているように離職時にも手続きが必要になりますので忘れないようにしましょう。
外国人雇用状況の届出 まとめ
今回は、外国人雇用の際に必要となる「外国人雇用状況の届出」について詳しく説明しました。
初めての外国人採用では、どの必要書類を準備すべきか戸惑うこともあるでしょう。
また、すでに外国人雇用を進めている事業者でも、手続きに慣れていても必要書類の提出を忘れてしまうことがあるかもしれません。
適切な必要書類を事前に準備し、ハローワークへの届出を確実に行うことで、スムーズな外国人雇用を実現しましょう。