特定技能 まとめ|特定技能を採用するための要件と流れについて解説
2024年06月22日
日本の人手不足の解消の担い手として活躍を期待されるのが在留資格「特定技能」です。
特定技能は「日本語レベル」「技能」などが一定のレベルを満たした外国人に発行される在留資格なので、これからの日本の労働力として活躍が期待されています。
特に2023年5月時点で政府の方針として、これまで特定技能2号への対象職種が拡大されることにより、在留期限が5年が満期だったのが、無期限になり、家族の帯同なども許可されるようになるようです。
どんどんと企業は採用を加速し、特定技能の人材も増えていくでしょう。
その一方で働ける分野や業種が限られています。
この記事では、特定技能の採用を検討しいる企業のために、制度の概要や採用要件と流れについて解説します。
特定技能制度はなぜ作られたのか?
特定技能制度とは、日本国内で不足している労働力をアジア圏の外国人の就労によって確保するために2018年12月の臨時国会で定められた外国人の在留制度です。
制定により2019年4月1日以降、深刻な人手不足に窮している産業分野では、即戦力となる新たな外国人材の受入れができるようになりました。
昨今、日本国内の中小企業や小規模事業者では、人手不足が深刻化しています。
技能実習生や、外国人留学生が労働力の担い手として活躍してはいるものの、本来技能実習生が在日した目的は労働力の供給ではありません。
技能実習生は、日本で特定の業種に就いて学び、その学んだ技術を生まれ育った自分の国へと持ち帰り母国の発展に役立てることが目的です。また外国人留学生は、日本の学校で勉強し、学んだことを技能実習生同様、自分の国へ持ち帰り、役立てる目的で来日しているのです。
そのため、人手不足の解消にまでは至っていませんでした。
しかし、このままでは日本の中小企業や小規模事業者は会社として成り立たなくなってしまいます。このように人手不足によって日本経済、ひいては社会基盤が存続の危機を迎える中、対策として新たな在留資格である「特定技能」が生まれました。
特定技能1号 業種:職種
特定技能1号は、一定の知識や経験、専門性を有する外国人の人材を一定の数受け入れ、人手不足の解消につなげる目的で2019年4月から施行されました。
逆に言えば特定技能1号を有する外国人に対しては、就業後直ちに一定の業務に当たることができる能力をあらかじめ持っていることが前提で、採用後は即戦力としての能力が求められています。
こうした水準は、業種ごと運用方針に沿って定めたものがあり、外国人が所轄の省庁が行う試験を受けることで、スキルを確認することが可能です。
加えて、特定技能1号を取得するためには、一定程度の日本語能力が必要となります。
日本語能力の必要水準については、業務遂行に必要なレベルが特定産業分野ごとに定められおり、各特定産業を所管する行政機関の試験でその水準を確認可能です。
現在、特定技能1号の業種は14業種(12分野)となっています。
業種の内訳は、「介護」「ビルクリーニング」「素形材産業」「産業機械製造業」「電気・電子情報関連産業」「建設」「造船・船用工業」「自動車整備」「航空」「宿泊」「農業」「漁業」「飲食料品製造業」「外食業」です。
ここからは、その14種の業種について説明していきます。
特定技能1号・業種:介護
特定技能1号の業種の中でも、最も受け入れ予定数が多くなっている分野が、この介護分野です。
この先も見通しの立たない深刻な高齢化社会を迎えた現代の日本では、介護分野は特に人手不足が深刻な状況となっているのが現状です。
介護分野での主たる業務活動は、介護施設での入浴、食事、排せつなどの介助、レクリエーション等に不随する支援業務の実施などがあります。
特定技能では夜勤は可能ですが、訪問介護のサービスは対象としていません。
特定技能1号の「介護」は、技能試験「特定技能評価試験」と、日本語試験「国際交流基金日本語基礎テスト」に合格することで取得できますが、特定技能2号の業種となっていないため、在留期間が短くなってしまいます。
そこで第三の方法として、4年間EPA介護福祉士候補者として主要な研修を行い、必要要件を満たすことで特定技能「介護」へと移行する方法もあります。
特定技能1号・業種:ビルクリーニング
特定技能1号のビルクリーニングでは、主に建物内の清掃を行います。
ビルクリーニングでは他業種と異なり、高齢者の雇用を推進しているところが特徴です。
建築物衛生法適用対象となる「建築物衛生法」の対象となる建物は年々増加していますが、ビルクリーニングも人手不足が深刻化している業種です。
ビルクリーニングの対象になる業務は、建築物内部の清掃となり、具体的には大勢の人が利用する建築物内部の清掃作業を行います。
特定技能1号・業種:素形材産業
素形材産業とは、金属などの素材から形を作り出し、それを組立産業に供給する産業のことです。
古くから日本経済にとっては必要不可欠な産業であり、従業員数や出荷額は膨大である一方で、現状は深刻な人手不足に苦しんでいる業種です。
携わる業務は、鋳物や塗装、仕上げ、電気機器組み立て、溶接、機械検査、鍛造、ダイカスト、工業板金、機械保全、プラスチック成形、機械加工、めっき、アルミニウム陽極酸化処理、金属プレス加工となっています。
特定技能1号・業種:産業機械製造業
産業機械製造業は、素形材産業と同様、需要が多い現実に対して人手不足が続いている産業のひとつです。
鋳物、塗装、仕上げ、電気機器組み立て、溶接、鉄鋼、機械検査、鍛造、鉄工、プリント配線板製造、工業包装、ダイカスト、工業板金、機械保全、プラスチック成形、機械加工、めっき、電子機器組み立て、金属プレス加工が対象となります。
上記の業務以外でも、関連する業務として日本人が従事している業務に携わることも可能となっています。
特定技能1号・業種:電気・電子情報関連産業
電気・電子情報関連産業は、現代の日本経済にとって必要不可欠な産業となっており、インフラ整備や幅広い生産財を供給する、いわば日本の製造業の根幹を担っている業種と言えます。
対象となる業務は13種あり、機械加工、仕上げ、プリント配線板製造、工業包装・金属プレス加工・機械保全、プラスチック成形・工場板金・電子機器組立て、塗装・めっき・電気機器組立て・溶接の業務区分が定められています。
また、上記に該当する中で日本人が普段従事している関連業務にも、外国人労働者が従事することも可能となっています。予想される関連業務は、原材料や部品の調達・搬送作業や各職種の前後における工程作業などです。
3業種
・素形材産業
・産業機械製造業
・電気・電子情報関連産業
は2022年に1つ分野に統合されました。
特定技能1号・業種:建設
建設業では、高度な建設技術の保有者である熟練就業者の高齢化が進み、10年後には65歳以上の大半が引退してしまいます。
若者の流入も極めて少ないために、人材不足は加速している状況です。
建設の業務では、これまで型枠施工や土工、内装仕上げ/表装、左官、屋根ふき、コンクリート圧送、電気通信、トンネル推進工、鉄筋施工、建設機械施工、鉄筋継手の従事が可能でした。
さらに2020年からとび、建築大工、建築板金、配管、保温保冷、ウレタン断熱、海洋土木工が加わっています。
なお、建設業の業務では、業務別に必要となる資格・試験が設定されています。
特定技能1号・業種:造船・船用工業
すそ野が広い労働集約型の産業と言われ、主に地方に生産拠点を維持している造船・船用工業ですが、少子高齢化や生産年齢人口の減少、若手の就労者が不足していることにより、人手不足が進んでいる状況です。
造船・船用工業の主な職種は、溶接、塗装、仕上げ、鉄工、機械加工、電気機器組み立てとなります。
また、業務別に必要な試験があります。
特定技能1号・業種:自動車整備
自動車整備は、整備要員の高齢化、近年の若者の車離れから、ますます人手不足が深刻化しています。
主たる業務内容は、自動車の日常点検整備、定期点検整備、分解整備となります。
外国人の人材に求められる水準は、自動車の定期点検整備や分解整備を1人で適切に行うことができるスキルとなっており、3級自動車整備士と同程度の水準とも言われているようです。
特定技能1号・業種:航空
航空需要は、日本を訪れる外国人観光客が年々増加していることや、格安航空機(LCC)の出現で近年増加の一途をたどっています。
そのことからも、人材の確保は非常に重要な課題です。
航空の主な業務内容は、地上走行支援業務や手荷物・貨物取扱業務等を行う空港グランドハンドリング、エンジンオイルの確認などの機体・装備品等の整備業務等を行う航空機整備となっています。
特定技能1号・業種:宿泊
近年、日本を訪れる外国人観光客がますます増加しています。
2025年の大阪万博に伴って、さらに訪日外国人観光客の増加が予想されることから、人材確保の必要に迫られている業種と言えるでしょう。
宿泊は都市部のみならず、地方でも需要が拡大されている状況からも、さらなる人材確保が欠かせない業種になると考えられます。
特定技能1号・業種:農業
日本の農業は、農家の高齢化や若手の地方流出のために、人手不足がさらに深刻化している状況です。
そうした危機を回避するため、政府は特定技能だけではなく、技能実習生、戦略特区での外国人就労を解禁し、積極的に農業での外国人材の受け入れ拡大を行ってきました。
農業における対象の職種は、「施設園芸」「畑作・野菜」「果樹」に従事する耕種農業と、「養鶏」「養豚」「酪農」に携わる畜産農業の2種類となっています。
特定技能1号・業種:漁業
漁業は、これまでは技能実習生を中心として、外国人の雇用を拡大してきた業種です。
特定技能が施行されたことによって、在留資格を所持している外国人がさらに増えることで、漁業再生に近づくと期待されています。
漁業で行われる業務は、漁具の製作・補修、水産動植物の探索、漁具・漁労機械の操作、水産動植物の採捕、魚獲物の処理・保蔵、安全衛生の確保を行う「漁業」と、養殖資材の制作・補修・管理、養殖業水産動植物の育成管理、養殖業水産動植物の収獲(収穫)・処理、安全衛生の確保を行う「養殖業」の2種類があります。
特定技能1号・業種:飲食料品製造業
飲食料品製造業は、加工食品や飲料水などを製造する産業ですが、製造業の中でも事業所数・従業者数が最も多い業種となっています。
ダイエットの普及や健康食品の需要の増加など、以前とは経済社会が変化していく現状ですが、食料品製造業は安全性への信頼からも国内需要が非常に高まっています。
日本の雇用、安定生産を支える産業として非常に重要な役割を果たしている業種です。
特定技能1号では、酒類を除いた飲食料品の製造や加工、安全衛生など、飲食料品製造業全般の業務を行います。
特定技能1号・業種:外食業
外食業では、飲食物の調理、接客、店舗管理など、外食業において全般の業務を行います。
対象となる店舗は、食堂、レストラン、料理店、喫茶店、カフェ、ファーストフード店、テイクアウト専門店、宅配専門店、仕出し料理店です。
なお、調理や接客を行わない場合や、レストランでの皿洗いや床掃除のみ、飲食店以外の仕事をする、宅配専門店で宅配だけするなどは対象外となっています。
特定技能2号 業種:職種
ここまでは、特定技能1号の14業種について、概要を説明してきました。
次にもうひとつの特定技能である「特定技能2号」についてもご紹介しましょう。
前述のように、特定技能1号は、外国人が一定の知識・経験を必要とする業務を行うために取得する資格ですが、それに対して特定技能2号は、熟達した技能を持つことを証明するための資格と言えます。
長期に渡る実務経験等から熟練した技能を身につけ、各所轄省庁が定める技能試験を受験し、合格しなければ特定技能2号の取得はできません。
現在のところ、特定技能2号の指定となっている業種は「建設業」と「造船・船用工業」の2業種のみで、該当の2業種以外の分野では「特定技能」の在留資格で外国人材を受け入れられません。
特定技能2号の2業種とは、具体的には以下のように定められています。
特定技能2号 業種:建設業
建設業での業務は、型枠施工、土工、内装仕上げ/表装、左官、屋根ふき、コンクリート圧送、電気通信、トンネル推進工、鉄筋施工、建設機械施工、鉄筋継手、とび、建築大工、配管、建築板金、保温保冷、吹付ウレタン断熱、海洋土木工があります。
特に国内での需要が高いとされる建設業は、東京オリンピック関連の建物を建設するため早期から外国人採用が進められてきたため、特定技能2号の取得を目指す外国人が増加すると予測されている状況です。
既存の試験を利用しての資格取得が可能ですが、技能試験の難易度は高く、合格人数は多くはないと見込まれています。
特定技能2号 業種:造船・船用工業
特定技能1号同様に職種として、溶接、塗装、仕上げ、鉄工、機械加工、電気機器組み立てがあります。
造船・舶用工業は、労働集約型産業としてすそ野を広げ、国内の生産拠点の殆どが地方圏に存在していることが特徴です。
近年のに日本で、少子高齢化や生産年齢人口の減少が急激に進んでいることや、地方から都市部への若者の流出により、日本人の若手就労者の確保に苦慮している産業です。
しかしながら、外国人労働者の受け入れ見込み数に対し就労する外国人労働者は非常に少なく、今後の動向も懸念されています。
特定技能2号の分野の拡大について
令和5年6月9日の閣議決定において、特定技能2号の対象分野の拡大が行われることになりました。
特定技能2号に関しては熟練した技能を要するため、特定技能1号の分野の中でも、
建設業と造船・舶用工業の溶接区分のみが対象となっていました。
しかし閣議決定により、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の9分野に加えて、造船・舶用工業分野のうち溶接区分以外の業務区分全てを、新たに特定技能2号と対象とすることになりました。
そのため、特定技能1号の介護以外の全ての分野で、特定技能2号として受け入れることが可能になります。
上記の対象分野の拡大はまだ実際に開始されておらず「出入国管理及び難民認定法別表第一の二の表の特定技能の項の下欄に規定する産業上の分野を定める省令」等の改正を行い、その施行を以て開始されます。
介護分野が対象外になる理由は、現行の専門的・技術的分野の在留資格「介護」があるからです。
https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/03_00067.html
特定技能1号と2号の違い
特定技能1号と2号の違いは、7つあります。
①在留期間の違い
特定技能1号の在留期間は、最長で5年間です。
在留期間によって更新の頻度が決まっており、1年、6ヵ月、または4ヵ月ごとの更新となっています。
転職が可能ですが、在留可能期間は特定技能1号の期間の中で通算5年以内と決まっています。
そのため、1号の転職者を雇用する場合は、在留期間の残りの期間を確認する必要があります。
また、特定技能1号のビザを所持したまま帰国した場合、帰国期間は特定技能1号の期間としてカウントされるので注意が必要です。
特定技能への移行が間に合わない外国人に対しては、特定活動のビザが交付されます。
このビザを所有している期間も、特定技能1号の期間としてカウントされます。
特定技能2号は、在留期間の無期限更新が可能です。
3年、1年、または6ヵ月ごとの更新が必要で、特定技能1号よりも長期の更新頻度となります。
ビザの取消事由に該当しなければ、日本に永住することが可能です。
②家族帯同の可否に関する違い
特定技能1号の場合は、家族を日本に呼び寄せることが出来ません。
一方、特定技能2号は、母国に住んでいる家族を家族滞在ビザで呼び寄せることができます。
呼び寄せることができる家族は配偶者と子どもで、親や祖父母、親戚などを呼び寄せることはできません。
2号の外国人が呼び寄せた家族は、資格外活動という許可を得れば、週に28時間まで日本で働くことができます。
③日本語能力基準の違い
特定技能1号の取得にあたって、日本語能力試験N4以上、または国際交流基金日本語基礎テストのいずれかで日本語力を証明することが必要です。
ちなみにN4とは「基本的な日本語を理解することができる」レベルとなっています。
介護分野においては、介護日本語評価試験に合格することも必須となっています。
技能実習2号を良好に修了した場合、上記の日本語試験を受験しなくても、日本語能力を認められます。
一方、特定技能2号を取得するために必要な日本語能力は、特に定められていません。
④技能基準の違い
特定技能1号の場合は、それぞれの分野で職種ごとに定められている「特定技能1号評価試験」に合格すると技能基準を満たすことができます。
または、技能実習2号を良好に修了することでも、技能基準を満たすことが可能です。
特定技能2号の場合は、それぞれの分野で職種ごとに定められている「特定技能2号
評価試験」に合格し、監督者として一定の実務経験を積むことで基準を満たすことができます。
建設分野の一部の職種については、技能検定1級に合格すれば、特定技能2号評価試験の合格と同等以上の技能を有していると認定されます。
実務経験の詳細は、建設分野の場合は複数名の建設技能者を指導しながらの作業経験、及び工程管理者としての実務経験となっています。
造船・舶用工業分野では、複数名の作業員を作業員を監督する実務経験(2年以上)となっています。
⑤対象の分野の違い
特定技能1号と2号では、対象となる分野が違います。
1号と2号それぞれの対象分野は、以下の通りです。
特定技能1号
1介護(訪問系サービスは対象外です)
2ビルクリーニング
3素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
4建設
5造船・舶用工業
6自動車整備
7航空
8宿泊
9農業
10漁業
11飲食料品製造業
12外食業
特定技能2号
1建設
2造船・舶用工業
特定技能2号は現在は2分野ですが、令和5年6月9日の閣議決定により、対象分野の拡大が行われることになりました。
⑥登録支援機関の要否の違い
特定技能1号の外国人を雇用する場合は、1号特定技能外国人支援計画を作成し、雇用期間中は計画に基づいて、外国人の職業生活及び日常生活を支援する必要があります。受け入れ企業側で支援体制を整えることが難しい場合は、登録支援機関に業務の委託を依頼する必要があります。
多くの支援義務があるため、特定技能1号を受け入れている大多数の企業が、登録支援機関を利用しています。
一方で、特定技能2号の外国人を採用する場合は、支援計画の作成は要りません。つまり、登録支援機関を介さずに、受け入れ企業のみで外国人を雇用することが可能です。
⑦永住ビザ申請の可否の違い
日本の永住ビザ申請の要件の中に「原則として引き続き10年以上、日本に在留しており、期間中、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く)または居住資格をもって、引き続き5年以上在留していること」という規定があります。
特定技能1号で日本に在留する期間は就労資格に該当しません。例えば、技能実習3号と特定技能1号を合計して10年だったとしても、永住ビザの申請はできません。
その一方で特定技能2号の場合は、日本に在留する期間が就労資格に該当します。上記の例の場合は、特定技能2号で更に5年以上、日本に在留することで永住ビザの申請をすることができるようになります。
ちなみに、特定技能1号と特定技能2号の違いに関することではありませんが、2号を取得する際は、1号であることが必須条件となっています。今現在は、それ以外の取得方法はありません。
https://www.moj.go.jp/isa/content/001335263.pdf
特定技能1号と特定技能2号に関する基準
特定技能を取得する際は、特定技能1号と特定技能2号で異なる基準を満たし、更に1号と2号でそれぞれ異なる基準を満たす必要があります。
この基準は、上陸基準省令の法第7条第1項目第2号で定められています。
1号と2号に共通する基準
①18歳以上であること
②健康状態が良好であること
③退去強制の円滑な執行に協力する外国政府が発行した旅券を所持していること
④保証金の徴収等をされていないこと
⑤外国の機関に費用を払っている場合は、額・内訳を十分理解して機関との間で合意していること
⑥送出し国で遵守すべき手続きが定められている場合は、その手続きを経ていること
⑦食費、居住費等外国人が定期に負担する費用について、その対価として供用される利益の内容を十分理解した上で合意しており、かつ、その費用の額が実費相当額その他の適正な額であり、明細書その他の適正な額であり、明細書その他の書面が提示されること
⑧分野に特有の基準に適合すること
1号と2号での基準違い
・特定技能1号の場合
①必要な技能及び日本語能力を有していることが、試験その他の評価方法により証明されていること(ただし、技能実習2号を良好に修了している者であり、なおかつ、技能実習において修得した技能が、従事しようとする業務において要する技能と関連性が認められる場合は、これに該当する必要がない)
②特定技能1号での在留期間が通算して5年に達していないこと
・特定技能2号の場合
①必要な技能を有していることが、試験その他の評価方法により証明されていること
②技能実習生の場合は、技能の本国への移転に努めるものと認められること
https://www.moj.go.jp/isa/content/001335263.pdf
技能実習と特定技能の違い
技能実習と特定技能には様々な違いがありますので、紹介します。
制度の目的
技能実習が技術伝達によって途上国の技術向上に協力するという国際協力を指針としているのに対し、特定技能は日本における労働力不足を補うことが目的で、これが最も大きな違いです。
そのため、特定技能では技能実習よりも多くの業務に携わることが許可されています。
受け入れの時点で必要な能力も特定技能の方が高く、特定技能では即戦力として働いてもらうことを期待しています。
在留期間が異なる
技能実習と特定技能では許可される在留期間も異なります。
技能実習で1号から3号までスムーズに移行できた場合、最長で5年間日本にいることができます。
移行が順調にできなければ、もっと短期で終わります。
一方、特定技能は1号で通算5年で、2号では在留期間の上限自体がありません。
対象国
技能実習の対象になっているのは、16の新興国です。
特定技能は原則すべての国が対象とされています。
ただし、実際に特定技能資格を取得できている人の国籍は限定的です。
なぜならば、受け入れに関して送り出し国との間でトラブルが起こらないよう協定を結んでいる国から受け入れるケースがほとんどだからです。
なお、イランとトルコは他国から帰国の命令をされた自国民を入国不可にするため、この2国籍の外国人は特定技能の対象国から除外されています。
その他の違い
就業可能な業務・業種
受入れ方法
転職・転職是非:技能実習は転籍・転職できませんが、特定技能は転籍・転職可能です。
技能水準試験の有無:技能実習受け入れ時には技能水準や日本語能力水準の試験がありませんが、特定技能の場合、1号2号ともに特定産業分野に関する技能水準試験があります。
日本語能力:特定技能には日本語試験があります。
技能実習から特定技能への移行について
「技能実習」から「特定技能」への移行は、可能です。
しかし要件を満たす必要があります。
なお技能実習1号から特定技能へ移行することはできません。
そして技能実習3号の場合は、実習計画を満了する必要があります。
一般的に技能実習から特定技能への移行と言う場合、技能実習2号から特定技能1号への移行を指していると考えてください。
また、特定技能は転籍・転職が可能ですから、技能実習時とは別の企業で働けることもポイントです。
技能実習から特定技能に移行できる分野
移行可能な特定技能の分野は次の分野です。
農業
漁業
建設
食品製造
繊維・衣服
機械・金属
家具製作
印刷
製本
(強化)プラスチック成形
塗装
溶接
工業包装
紙器・段ボール箱製造
陶磁器工業製品製造
自動車整備
ビルクリーニング
介護
リネンサプライ
コンクリート製品製造
宿泊
RPF製造
鉄道施設保守整備
ゴム製品製造
鉄道車両整備
空港グランドハンドリング
ボイラーメンテナンス
https://www.jitco.or.jp/ja/regulation/occupation.html
技能実習から特定技能への移行手続きの流れ
「技能実習2号」を持つ外国人を「特定技能」へ移行させる手続きについて解説します。
移行手続きの基本的な流れは次のとおりです。
-特定技能外国人と雇用契約締結
-1号特定技能外国人支援計画策定、または登録支援機関と委託契約締結
-事前ガイダンスの実施、健康診断の受診
-分野や国によっては追加の手続きや上乗せ要件があるため行う
-在留資格変更許可申請を出入国在留管理庁に提出
上乗せ要件が無い場合、申請から約2〜3か月で結果がきます。
技能実習から特定技能に変更するための手続きに必要な書類
以下の書類が必要になります。
-特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧、確認表
-在留資格変更許可申請書
-写真(縦4㎝×横3㎝)
-身分証明書(申請取次者証明書、戸籍謄本など)
-特定技能外国人の報酬に関する説明書
-特定技能雇用契約書の写し
-雇用の経緯に係る説明書
-申請人のパスポートおよび在留カードの提示など
国や分野ごとの上乗せ要件
通常は申請から1〜2ヶ月で審査結果が通知されます。
しかし国や分野によって、上記の書類に加えて、要件が追加されることがあります。
そのような場合は、通常よりもさらに準備や手続きに時間がかかります。
余裕をもって早めに準備に取り掛かるようにしましょう。
国ごとの要件の例
本国で許可や手続きが必要なケースがあります。
例としてネパールとベトナムを挙げましょう。
ネパールの場合は、本人が海外労働許可証の発行をネパール政府に対してオンラインで申請を行い、取得してから出国しなければなりません。
またベトナムは、現在日本で多くの労働者を受け入れている代表的な国ですが、次のような追加要件があります。
ベトナム人が特定技能に移行するには、オンラインで事前申請を行い、日本のベトナム大使館で推薦者表を得る必要があります。
この煩雑な手続きに加え、特定技能外国人を受け入れるための社内制度の整備や必要書類の準備もあります。
したがって、準備期間に3カ月~4カ月はかかると考えると良いでしょう。
http://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/nyuukokukanri05_00021.html
分野による追加要件の例
例えば建設業は、次のような追加要件を課せられています。
-報酬などを記載した「建設特定技能受入計画」について、国交省の認定を受ける
-外国人の受入れに関する建設業者団体に所属する
-特定技能外国人を建設キャリアアップシステムに登録する
基本の出入在留管理庁への申請に加え、国交省にも申請や届けを行うことになり、その分手間と費用がかかります。
技能実習から特定技能に変更するための手続きに必要な書類
移行申請前に在留期限が切れてしまう場合の特例措置
「特定技能1号」に移行したいが、現在の在留資格の在留期間満了日までに書類がそろわないなど間に合わないことがあります。
このような場合、「特定技能1号」資格で就労予定の受入れ先で就労しながら移行のための準備を行える「特定活動(4か月)」という在留資格があります。
この特例措置を受けるには、以下の条件があります。
-在留資格変更許可申請を予定していること
-申請人の在留期間の満了日までに「特定技能1号」への在留資格変更許可申請を行うことが困難である合理的な理由があること。
-申請人が「特定技能1号」で従事する予定業務に従事すること。
-技能実習と特定技能との業務が同様であること
-申請人が「特定技能」となった際に支払われる予定報酬額が支払われること。
-日本人が従事する場合と同等以上の報酬を支払うこと
-申請人が技能実習2号良好修了者であること。
-技能試験および日本語試験に合格していること
-受入機関が在留外国人の日常生活の支援を行うこと
技能実習から特定技能への移行のメリット
技能実習から特定技能へ移行することに伴う受け入れ企業のメリットとデメリットをしっかりと理解しておく必要があります。
まず、メリットからお話ししましょう。
特定技能へ移行すると、受け入れ側の企業には次のような大きなメリットがあります。
-引き続き日本で働いてもらえる
-人数制限がなくなる(介護・建設除く)
移行対象となっている産業分野では、絶えず人材不足に悩んでいます。
そのため、同じ会社で3年、5年と働き続けてくれる人材は貴重です。
また日本の生活や会社の業務に慣れた技能実習生の中には、もっと働きたいのに帰国せざるを得ないケースもあります。
企業にとっても、手放すのが惜しい人材となっています。
そんな技能実習生を特定技能に移行すれば、既に育成済みの自社の人材にさらに最長5年働いてもらえるのです。
人材確保に費やす費用、時間、労力などを考えれば、これは企業にとって大きなメリットだといえます。
要件の免除
-技能実習2号を良好に修了していること
-技能実習の職種・作業内容と、特定技能1号の業務に関連性が認められること
技能実習を良好に3年間終了し(2号まで)、職種と作業内容が移行する特定技能1号の業務に関連性が認められる場合、技能試験と日本語試験が免除となります。
技能実習と異なる業務であっても、技能実習2号を良好に修了した場合は日本語試験が免除されます。
技能実習から特定技能への移行のデメリットや注意点
技能実習から特定技能への移行に伴うデメリットや注意するべき点についても、解説します。
賃金面
まず特定技能の非メリットとして挙げられるのは賃金面のコストです。
特定技能については次の決まりがあります。
-同等の業務に従事する日本人労働者の報酬の額と同等以上であること
-技能実習の一段階上の在留資格なので、3年または5年程度の経験者として取り扱うこと
技能実習の賃金より高くなることは必然です。
手続き面
また受け入れ先の企業には、入管庁に対する雇用契約の変更や終了時に随時の届出と、年4回の定期の活動状況届出が義務として課せられています。
これらの届出を行わないと罰則対象となるので注意が必要です。
外国人労働者の離職リスク
さらに特定技能は転籍・転職が可能なので、外国人労働者から「選ばれる」職場でなければ離職を招きます。
この点を軽く考える企業が存在しますが、働き続けてもらうにはやはり受け入れ側の配慮も大切です。
技能実習から特定技能に移行すると、さらに5年、10年と家族に会えず異国の地で独り頑張らないといけなくなる外国人労働者の立場を考えて受け入れたいものです。
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