家族滞在ビザと資格外活動許可について、必要書類や条件・就労時間を解説!
2024年08月20日
日本で雇用されている外国人などの家族が日本に滞在する場合、その被扶養者には「家族滞在」ビザが付与されます。家族滞在ビザのメリットは多岐にわたりますが、そもそも家族滞在ビザとはどのようなビザなのでしょうか。
この記事では、外国人を雇用する企業向けに「家族滞在」ビザの概要から企業にとってのメリットと注意すべき点を解説していきます。
家族滞在ビザとは
ここでは、家族滞在ビザの概要について確認していきます。
まず、すべての在留資格が家族を呼び寄せることができるわけではありません。
そもそもどのような在留期間資格を持つ人が家族を呼び寄せられ、家族滞在ビザの人はどのくらい日本に在留できるのでしょうか。
・該当例:在留外国人が扶養する配偶者・子(被扶養者)
・家族を呼び寄せることができる在留資格
教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能2号、文化活動、一部の留学(大学生、大学院生など)
・在留期間:5年、4年3ヶ月、4年、3年3ヶ月、3年、2年3ヶ月、2年、1年3ヶ月、1年、6ヶ月または3ヶ月
家族滞在ビザは雇用・就労できるのか
家族滞在ビザは、被扶養者に対する在留資格であり、原則、就労が許されていません。
しかし、資格外活動許可を取得することで就労ができるようになります。
ここでは、資格外活動許可の種類やどのような業務ができるようになるかなどを解説していきます。
資格外活動について
資格外活動許可とは、在留資格で許されていない活動で収入を得る際に必要な許可です。
家族滞在ビザでは、2種類の資格外活動許可を申請することができます。
■包括許可(1週に28時間以内の就労をする)
包括許可では、勤務する店や企業が指定がなく、どこの店や企業であっても就労が可能になります。
原則は、週に28時間以内の就労が可能になりますが、「留学」の場合のみ、長期休暇などの期間には、週に40時間以内の就労が認められます。
該当例:アルバイト
<ポイント>
・28時間の計算方法は月間平均などではありません。どの曜日から起算しても常に1週間28時間以内でなければなりません。
・家族滞在ビザの人は被扶養者なので、週28時間以内の就労であっても、年収が103万円を超えるような高額アルバイトをすることはできません。
■個別許可
個別許可では、指定された勤務場所、内容、その他条件内で就労が可能になります。
包括許可と異なり、28時間以上の就労が可能になります。
労働時間がわからないアルバイトをする際にはこちらの個別許可が必要になります。
該当例:インターンシップ・クラウドソーシングなどで受ける翻訳業務など
参照:出入国管理局 「家族滞在」の在留資格に係る資格外活動許可について
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri07_00004.html
資格外活動許可があってもできない仕事
家族滞在の人には、資格外活動許可を取得してもしてはならない業務がいくつかあります。ここでは具体的な例をいくつか紹介します。
<できない業務:風俗営業にあたる業務>
ゲームセンター、パチンコ店、スナック、麻雀点など
上記の業務は、たとえホールなどで働かず、キッチンで皿洗いをする場合であっても許されません。
資格外活動が許可の確認方法
外国人を採用する際には、在留カードで本人の在留資格などの情報を確認するようにしましょう。
企業には、在留カード等を用いて外国人の身分を確認する義務があります。
在留カードとは、中長期的に日本に滞在する外国人が持っている身分証明者です。
確認する際のポイント
1.カード表面 在留資格が家族滞在となっているか
2.カード裏面 資格外活動許可に許可の内容が書いてあるか
資格外活動許可があり、就労が許可される場合には、「原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」と記載があります。
資格外活動許可の取得方法
ここからは、資格外活動許可の申請方法について解説していきます。
審査には通常、2週間〜2ヶ月程度かかり、申請に必要な書類は、包括許可か個別許可かどちらを申請するかによってかわります。
◾︎包括許可の申請に必要な書類
・資格外活動許可申請書
・在留カード
・パスポート
・適宜、申請の活動内容を明らかにする書類
雇用契約書の写しなど職種・勤務時間などがわかるもの
■個別許可の申請に必要な書類
個別許可申請の場合、必要となる書類は申請する活動内容によって異なります。
出入国管理局のHPから適宜必要書類を確認する必要があります。
参照:出入国管理局 在留資格「家族滞在」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/dependent.html
家族滞在ビザの採用で、企業が注意するべき点
家族滞在ビザで資格外活動許可を取得している外国人を採用する際に、企業が注意すべき点にはどんなことがあるでしょうか。
ここでは企業が特に注意すべき点をいくつかご紹介します。
オーバーワークをしていないか
包括許可を取得している場合、就労時間が週に28時間を超えてはいけません。
28時間とは、一人の外国人が週に就労できる上限であり、一つの就業先で就労可能な時間数ではありません。
複数のアルバイトを掛け持ちしている外国人の場合、仮に自社での就労時間が28時間に収まっていたとしても、他の就業先での業務時間と合算し、28時間を超えてしまった場合、資格外活動許可に違反したことになります。
この28時間という就労時間数は、在留カードやマインバーカードの普及に伴い正確に入国管理局やハローワークなどに情報として共有されており、超過違反はバレてしまい言い逃れはできない仕組みになっています。
オーバーワークしてしまった場合には、外国人・企業それぞれに罰則が設けられています。
<外国人に対する罰則>
・強制退去
28時間を超えて就労した時点で、資格外活動許可違反になり不法就労にあたり、強制退去させられる可能性があります。この場合、外国人は退去後5年間は日本に来日することができなくなります。
・在留期間の更新・変更許可申請が不許可となる
一度でも資格外活動許可に違反した行為をすると、在留資格の更新や変更の許可がおりなくなり、留学生の場合などは、卒業後に日本に就労することができなくなる可能性が非常に高くなります。
<企業に対する罰則>
・外国人に許可された活動以外の就労をさせた場合、不法就労助長罪にとわれ、3年以下の懲役、または300万円以下の罰金に問われます。
企業は、日頃から本人とコミュニケーションをとり、就労時間数を確認する必要があります。万が一、外国人が就労時間について虚偽の申告を申請をしていたとしても、企業側は注意義務を果たしていたことを立証できるように、仕組みやルール作りを行うことも必要です。
離婚等による在留資格の喪失していないか
家族滞在ビザは配偶者等がいることを前提として付与された在留資格のため、配偶者と離婚または死別した場合には、原則3ヶ月で在留資格が無くなり、資格外活動許可も取り消されます。
そのため、企業は、家族滞在ビザの人を雇う場合には、定期的に在留資格や家族との関係についても確認する必要があります。
もし、離婚または死別した後も日本に滞在した場合には、以下の手続きをとり、原則として3ヶ月以内に別の在留資格に切り替える必要があります。
<配偶者と離婚または死別後〜在留資格の切り替え手順>
①離婚または死別後14日以内に入国管理局に届け出る
②離婚または死別後3ヶ月以内に別の在留資格に変更申請をする
一般的に、技能・人文知識・国際業務などの就労ビザや日本人配偶者などに切り替えることが多いです。
3ヶ月以内に在留資格を変更できない場合であっても以下のような考慮されるべき点がある場合には、在留が認められることもあります。
・子どもが産まれた時から日本で生活しており、日本語しか話せない場合
・本人が日本での暮らしが長く、帰国しても家族や友人もおらず仕事を見つけることも難しく生活が難しい場合
・本国での治療が不可能な難病等を抱えており、日本での治療が必要不可欠である場合
<届出をせずに日本に在留した場合の罰則>
離婚や死別後14日以内に届出を行わなかった場合、6ヶ月経過するとビザが取り消される可能性があります。
資格外活動許可の期間更新
原則、資格外活動許可は、在留期限まで許可されます。
在留期間を更新する場合には、資格外活動許可もいっしょに更新申請をしなければいけません。
在留資格の更新の際に、資格外活動許可に関する申請を忘れたまま就労をすると、それは不法就労となります。
家族滞在ビザとは まとめ
家族滞在ビザは、原則就労ができないビザですが、資格外活動許可を取得することで、一定の範囲で就労が許可されます。
家族滞在の在留資格を持つ人を採用する企業は、以下の点に注意が必要です。
・在留カードの裏面に資格外活動許可の記載があるか
・在留期間は適切か
・配偶者などと離婚または死別により在留資格に変更がないか
・アルバイト等の掛け持ちでオーバーワークしていないか
・年収103万以上を超えていないか
家族滞在ビザの概要を正しく理解し、日頃から家族との関係や他のアルバイト等の状況などを確認するようにコミュニケーションをとっていくとよいでしょう。
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