外国人の雇用保険:雇用する時、退職時の手続について解説
2023年07月21日
外国人を雇用する場合にも、雇用保険の加入は必要です。
しかしながら外国人の雇用保険は日本人を雇用する場合と、手続きなどいくつかの面で異なります。
このコラムでは、はじめて外国人を雇用する事業主の方に向けて、外国人を雇用する場合と退職時の雇用保険の手続きについて解説裏ます。
また、留学生やワーキングホリデーなど、雇用保険の加入に該当しない外国人の扱いなどについても解説します。
また平成19年10月1日より外国人を雇用するすべての事業主に、ハローワークへの「外国人雇用状況の届出」が義務づけられています。
この目的は、入国した外国人の正確な情報管理および外国人労働者の再就職支援です。
今後増える外国人労働者とその雇用主になる企業にとって、避けて通ることができない手続きの一つであり、また届出を怠ったり、不正な内容で届出・雇用を行ってしまうと、雇用側が罰せられる可能性がありますので、この記事を読んで正しく理解しておきましょう。
外国人の雇用保険加入条件について
まず原則として、労働基準法、健康保険法などの労働関係法令、社会保険関係法令は国籍を問いません。
ですから外国人にも日本人と同じように適用されます。
「永住者」「外交」「公用」以外の在留資格で日本に滞在している「働く」外国人の方全てが対象です。
従って、外国人だから雇用保険に入らなくていいというのは誤りです。
繰り返しますが、社会保険関係法令は国籍を問わず適用されます。
それを踏まえた上で、外国人の雇用保険の適用条件を確認しましょう。
下記の場合は雇用保険の適用対象となります。
① 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
② 31日以上の雇用見込みがあること(31日以上雇用が継続しないことが明確である場合を除き、この要件に該当します)
②については、日ごともしくは30日以内の雇用を定めた契約で派遣労働を行っている外国人は日雇労働被保険者として対象になる場合があります。
外国人が雇用保険の加入対象とならないケース
外国人を雇用しても、雇用保険の加入対象とならないケースもあります。
それは昼間部の留学生とワーキングホリデーの2種類です。
1)昼間部の留学生の場合
留学生の場合、昼間の学校、夜間学校、いずれに在籍するかによって雇用保険の加入対象になるかならないかが決まります。
前者は雇用保険の対象にならないのが原則です。
ただし例外もあります。
厚生労働省の見解を紹介します。
「昼間学生であっても、次に掲げる方は被保険者となります。
① 卒業見込証明書を有する者であって、卒業前に就職し、卒業後も引き続き同一事業所に勤務する予定の者。
② 休学中の方(この場合、その事実を証明する文書が必要となります)
③ 事業主の命により又は、事業主の承認を受け(雇用関係を存続したまま)大学院等に在学する者。
④ 一定の出席日数を課程終了の要件としない学校に在学する者であって、当該事業において、同種の業務に従事する他の労働者と同様に勤務し得ると認められる方。(この場合、その事実を証明する文書が必要となります)
学生・生徒等で、通信教育を受けている者・大学の夜間学部・高等学校の夜間又は定時制課程の者以外の者(左記①から④に該当する者は除く)については、適用事業に雇用されても被保険者となりません。」
2)ワーキングホリデーの場合
ワーキングホリデーで来日している外国人の在留資格は「特定活動」に分類されます。
ワーキングホリデーで来日している外国人も、雇用保険の加入対象ではありません。
ワーキングホリデー=働ける資格と誤解されがちですが、あくまで本来の滞在資格にプラスして「特定活動」ができるという考え方でです。但し、一般的な特定活動とは異なり、就労時間の制限などがなく、且つ、欧米系の外国人が多いため、インバウンド対応が必要な企業から注目を浴びる在留資格となっています。
在留カードには「特定活動」としか記載されていないので、採用しようとする外国人がワーキングホリデーの資格があるかを確認するには、パスポートに貼り付けられている指定書を確認する必要があります。
外国人の雇用保険加入手続きについて
外国人の雇用保険について、以下の3種類の書類の届出が雇用対策法第28条で義務付けられています。
• 資格取得届
• 資格喪失届
• 在留カード
この記事を読んでいらっしゃる方が最も気になるであろう外国人を雇用する際の雇用保険の手続きについて、詳しく説明します。外国人を採用する際の雇用保険の手続きは、被保険者となった日の属する月の翌月の10日までに手続きしなければなりません。
「雇用保険被保険者資格取得届」を提出する
まず雇用保険被保険者資格取得届を作成し、提出します。
雇用保険に加入するときに必要な書式は、「雇用保険被保険者資格取得届(新様式第2号)」となり、「17」〜「22」の欄に国籍や在留資格など、在留資格欄には在留カード番号を記入します。
申請は書面、電子申請のどちらでも可
雇用保険被保険者資格取得届の手続きは書面と電子申請のどちらでも可能です。
電子申請する場合は、e-Govのサイトで行います。
書面申請の場合も、こちらのサイトに申請書の様式がまとまっています。
雇用保険の被保険者に該当しない外国人に関わる届出
雇用保険の被保険者に該当しない外国人についても何か届出は必要なのでしょうか。
この場合は「雇入れ・離職に係る外国人雇用状況通知書」を提出する義務があります。
記載が必要な項目は次のとおりです。
・氏名
・在留資格
・在留期間
・生年月日
・性別
・国籍・地域
・資格外活動許可の有無
・在留カード番号
・雇入れまたは離職年月日
・雇入れまたは離職に係る事務所の名称・所在地など
退職時:雇用保険資格喪失届について
雇用保険に加入している外国人が離職したときには離職日の翌日から10日以内にハローワークへ喪失届を提出する必要があります。
被保険者でなかった場合は、既に上記で述べたように、ハローワークへ外国人雇用状況届出書を提出します。
外国人雇用の手続きをスムーズに進めるポイント
外国人の雇用保険加入をはじめとした諸手続きをスムーズに進めるには、以下のポイントを押さえると良いです。
最初に在留カードのコピーをもらう
外国人を雇用する際は、まず在留カードのコピーを提出してもらっておきましょう。
色々な手続きで必要になります。
在留カードがあり、転入届を出している場合は、住民票とマイナンバーが付与される仕組みになっています。
手続きによっては、マイナンバーが必要なこともあります。
しかしマイナンバーカードを作っている外国人は多くありません。
マイナンバーがわからない場合は、マイナンバー付きの住民票を取り寄せれば確認できます。
外国人労働者本人の理解を得る
外国人労働者に在留カードのコピーや住民票といった個人情報の提出を求める際には、なぜそれが必要かきちんと説明しなくてはなりません。
また、日本の社会保険制度についてもしっかりと説明しましょう。
日本人なら「当たり前」の制度も、外国ではそうではありません。
同じような制度が存在すらしていないこともありますし、あったとしても手続き、内容、徴収の仕方や金額など異なります。
雇用主にとっては労働基準法や労働関連法、社会保険法で義務付けられているから行っているだけという感覚かもしれませんが、説明を省略し進めてしまうと、外国人労働者は非常に不安を感じる上に、後でトラブルになることがあります。
雇用保険に限らず、ほかの社会保険制度についても同様です。
外国人労働者の中には「健康保険は加入したいが厚生年金は加入したくない」「雇用保険なんて加入したくなかった」と主張する人もいます。
このようなトラブルを避けるには、事前に(最初に)雇用保険を含む社会保険制度と労働関係法令などについて、よく説明しましょう。
外国人の退職時の手続きについて
日本人の従業員が退職するときと同様の手続きがまず必要です。
それに加えて、ハローワークへ「外国人雇用状況の届け出」の提出も求められますので注意しましょう。
外国人雇用状況の届出とは
外国人雇用状況の届出とは、外国人が退職する際に、雇用主である企業が管轄のハローワークに提出する書類です。
ただし、「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出すれば、外国人雇用状況の届出は不要です。
届出を怠ると罰則はあるのか
永住者、外交、公用といった特別な資格を持つ外国人を除き、外国人労働者を雇用する際には、外国人雇用状況に関する届出が在留外国人管理や外国人再就職支援などの視点から義務付けられています。
仮に雇用主がこの届出をしなかった場合、どのような罰則があるのでしょうか。
• 外国人雇用状況届出の提出を怠った場合
• 虚偽の提出を行った場合
これらについては30万円以下の罰金が課せられます。
ただし、届出を忘れてしまっていたなど、故意がないと認められれば罰則の適用はありません。
また届出に正しく記載することも雇用側の責任ですので、ビザ・パスポート・在留カードなどをしっかり確認する必要があります。
もちろん在留資格の期限や内容も要確認です。
当該外国人労働者の持つ在留資格で自社で考えている業務が行えるかどうかが曖昧な場合は、出入国在留管理庁のホームページで確認しましょう。
外国人の雇用保険 まとめ
社会保険法は国籍が適用条件ではないため、外国人労働者にも、日本人と同様に雇用保険が適用されます。
しかし外国人の雇用保険の手続きには、日本人にはない在留カード番号などの入力項目や、滞在資格、就労資格の確認など、追加の手続きがあります。
正しく記入していなかったり、在留資格の期限が切れていたりすると、不法就労となってしまう可能性があります。
これらの確認、提出は外国人を雇用する側の責任義務とされており、罰則もありますのでしっかりと確認しましょう。
わかりにくいときは、出入国在留管理庁など所轄のホームページで確認したり、ハローワーク、司法書士、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。
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