外国人の退職手続きの仕方と注意点を解説します!
2024年08月14日
外国人労働者退職手続きガイド|離職票や手続きなど注意点を解説。
外国人労働者が退社する際「会社としてどのように手続きを行えば良いかわからない」という事業者の方もいるのではないでしょうか。
外国人の退職手続きは、日本人とは少し異なります。
間違った手続きを行うと、入管法違反として罰せられる可能性があります。
そのため「知らなかった」では済まされません。
今回は、外国人が退職するときに必要な手続きや注意点を解説します。
外国人を雇っている方は必見です!
外国人の退職手続きの特徴
労働基準法や社会保険関連法令は、国籍を問わずに適用されます。
そのため、外国人の退職手続きは、基本的には日本人と同様です。
退職する際に必要な手続きは以下の通りです。
-雇用保険被保険者資格喪失届または外国人雇用状況届出書の提出
-離職票の交付
-雇用保険被保険証の返却
-退職届を受け取る
-退職証明書の交付
-源泉徴収票の交付
-健康保険証の回収
-貸与品の返却
外国人で重要な退職手続きは「雇用保険被保険者資格喪失届の提出」です。
本来、外国人が離職や退職したときには、会社から入管局への届出が必要です。
しかし、雇用保険被保険者資格喪失届をハローワークに提出することで、入管局への届出が免除されます。
ただし、この届出は雇用保険の被保険者である外国人のみ提出します。
そのため、雇用保険の被保険者でなければ、代わりに「外国人雇用状況届出書」を提出しなければなりません。
詳しくは後述します。
外国人が退職する時に必要な手続き
外国人が退職するときに必要な手続きは日本人と変わりません。
しかし、外国人だからこそ気をつけておきたいポイントがあります。
ここでは、退職に必要な手続きを、外国人労働者に焦点を当てて解説します。
雇用保険被保険者資格喪失届の提出
雇用保険被保険者資格喪失届はハローワークに提出します。
この届を出すことで、外国人の離職時に必要な入管局への届出が免除されます。
雇用保険被保険者資格喪失届には「備考欄」があり、外国人は以下の項目の記載が必要です。
-在留資格
-在留期間
-国籍・地域
合わせて、離職証明書も添付して提出します。
離職証明書は、離職理由や賃金額などが記載されていて、失業保険の受給資格の判断に使われます。
雇用保険被保険者資格喪失届は離職の翌々日から10日以内に出さなければなりません。
ただし、在留資格が「外交」「公用」「特別永住者」の外国人は提出不要です。
令和2年3月1日以降に退職をした外国人は、雇用保険被保険者資格喪失届とともに在留カード番号の提出が必要です。
離職票の交付
雇用保険に加入している労働者が退職したときは、離職票を交付します。
ただし、本人が希望しなければ交付は不要です。
離職票は、退職者が再就職を行うまでの期間に失業保険を受け取るために使用されます。
会社が退職者に渡し、退職者がハローワークに提出することで、失業保険の手続きが進みます。
離職票は、退職日の翌日から10日以内に送付しなければなりません。
雇用保険被保険証の返却
雇用保険に加入している外国人には、雇用保険被保険者証を返却します。
これは、雇用保険の加入を証明するものです。
本来従業員が自分で保管すべきものですが、紛失を防ぐために会社で預かっているところが多いです。
返却は手渡しでも郵送でも構いません。
離職票と同様に、退職日から10日以内に返却をしましょう。
これがないと、退職後の従業員が失業保険を受け取れません。
外国人だから不要と決めつけず、必ず返却するようにしてください。
外国人雇用状況届出書の提出
雇用保険に加入していない外国人が退職したら、外国人雇用状況届出書を提出しましょう。
届出書に記載する内容は以下の8つです。
-氏名
-在留資格
-在留期間
-生年月日
-性別
-国籍・地域
-離職年月日
-離職に係る事業所の名称、所在地など
提出先はハローワークで、提出期限は離職日の翌月末日までです。
退職届を受け取る
労働者の希望による退職は、退職届により申し入れをされることが多いです。
法律では、「雇用は、退職の申し入れの後2週間で終了する」と定められています。
外国人本人からの退職届があるなら、2週間前に受け取りましょう。
退職は労働者の自由であり、原則として会社側が拒むことはできません。
退職届を受け取ったら、本人の意思を尊重して退職の手続きを進めるようにしましょう。
退職証明書の交付
日本人でも外国人でも、従業員が退職証明書を求めたら、会社は交付しなければなりません。
特に、外国人にとって退職証明書は重要です。
なぜなら、入国管理局でビザの変更や就労資格証明書の交付を申請する時に、退職証明書の添付が求められるからです。
退職証明書には以下の項目が記載されます。
-使用期間
-業務の種類
-当該事業における地位
-賃金
-退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む)
ただし、上記の項目のうち「退職者が望まない事項」は記入してはならないと、労働基準法で決められています。
仮に、退職の理由が本人の問題による解雇だとしても、本人が望まなければ記載してはいけません。
健康保険証の回収
会社を退職すると、従業員は会社で加入していた健康保険の資格を喪失します。
健康保険証の回収は事業主の義務です。
従業員が健康保険の資格を喪失したらすぐに回収をしてください。
また、退職後は今まで加入していた健康保険が使用できなくなる旨も説明します。
外国人が新たな就職先が決まっていない場合、国民健康保険への切り替えを促しましょう。
源泉徴収票の交付
退職時は、源泉徴収票を交付しましょう。
この源泉徴収票は、その年の1月1日から退職日までの給与に基づいて発行します。
月の途中で退職した場合は、日割りの給料を求めて作成しなければなりません。
源泉徴収票は、退職者が転職先で年末調整をするために必要な書類です。
退職後1ヶ月以内に2通発行して、1通は退職者、1通は税務署長に送付するよう定められています。
貸与品の返却
制服や入館証などの貸与品がある場合は、退職日までの返却が必要です。
外国人は、退職後に自国に帰国する可能性があります。
そうなると、貸与品の返却が行われなかったり手続きが非常に面倒になったりします。
退職が決まったら、返却すべき品をリストにまとめて、最終出勤日までに返却するように促しましょう。
外国人の退職手続きの注意点
外国人が退職するときは、以下の2点に注意しましょう。
-外国人本人の手続きの周知
-退職3ヶ月後の在留資格の取り消し
外国人を雇う事業者は、労務関係の法律や規則、手続きを外国人に説明することが指針にて推奨されています。
わかりやすい日本語や、外国人労働者の母国語を用いて、わかりやすいように伝えましょう。
外国人本人が行う手続きを周知する
外国人が退職する時は、本人も手続きを行います。
例えば、退職後の入国管理局への「契約(所属)機関に関する届出」の提出は、法律で義務付けられています。
これは退職から14日以内に行わなくてはなりません。
忘れると在留資格の更新が行われない可能性があります。
しかし、多くの外国人は日本の法律に詳しくなく、義務付けられている届出や手続きを知らないかもしれません。
退職時に一言、手続きについて周知やアドバイスをしてあげると良いでしょう。
退職後3ヶ月で在留資格が取り消される
就労ビザ、たとえば「技術・人文・国際業務」の場合、退職後、帰国せずに転職活動をする外国人もいるでしょう。
在留資格に記載されている活動を3ヶ月以上行わないと、在留資格が取り消される可能性があります。
また、仮に3ヶ月以内に転職ができても、転職先での業務が在留資格に記載されている内容と異なる場合は、在留資格の変更が必要です。
退職時に必要な手続きと合わせて、転職をする予定の従業員には前もって伝えてあげましょう。
外国人の退職手続きのまとめ
今回は、外国人労働者が退職するときの手続きを紹介しました。
労働基準法や社会保険関連の法律は、国籍にかかわらず適用されます。
そのため、外国人であっても日本人と同様の退職手続きを行います。
ただし、雇用保険被保険者資格喪失届に在留資格や在留カード番号を記入するなど、外国人にのみ必要な手続きも存在します。
手続きに不備があると罰金や罰則の対象になるため気をつけてください。
とはいえ、外国人にとって日本の制度は難しく、完璧に理解している人は少ないと言えます。
まずは、事業主が外国人の退職手続きを把握します。
そのうえで、外国人にわかりやすく伝え、退職後にどのように行動すべきかをアドバイスしましょう。
参考文献:厚生労働省 秋田労働局 退職時の証明(22条)|https://jsite.mhlw.go.jp/akita-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/roudoukijun_keiyaku/hourei_seido/1703/1703-11.html
厚生労働省 外国人雇用はルールを守って適正に|
https://www.maff.go.jp/j/keiei/foreigner/attach/pdf/index-50.pdf
厚生労働省 退職の申出は2週間前までに|
https://jsite.mhlw.go.jp/miyagi-roudoukyoku/library/miyagi-roudoukyoku/window/img/kiso_04.pdf
厚生労働省 雇用保険被保険者離職証明書についての注意|https://www.mhlw.go.jp/content/000763185.pdf
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