特定技能【飲食料品製造業】とは?どんな業務に従事できる?雇用に必要な要件まで徹底解説します!
2024年08月20日
自動化や工場の海外移転が難しい食品製造業では、人手不足が加速しています。
特定技能「飲食料品製造業」は、そんな人材不足を解消するために新設された在留資格です。
本記事では、特定技能「飲食料品製造業」で外国人を受け入れる方法や従事できる業務、注意点などわかりやすく解説します。
ぜひ、外国人受け入れの第一歩としてご活用ください。
特定技能「飲食料品製造業」とは?
特定技能「飲食料品製造業」とは、2019年に新設された、外国人が飲食料品の製造分野において日本で就労することができる在留資格です。
特定技能が許可されている産業分野は全部で12分野あり、飲食料品製造業もその一つとなります。
特定技能に「飲食料品製造業」が新設された背景
特定技能は、深刻な人材不足を解消するために設立された制度です。
飲食料品製造業も人手不足が加速している産業の一つとなっています。
飲食料品製造業が人材不足に悩まされている原因は、おもに二つあります。
一つ目の原因が、自動化が進みにくいという点です。
日本では少子高齢化が進んでおり、多くの産業が人手不足に陥っています。
そのため、近年は多くの分野でAIを導入するなど、あらゆる作業を機械へと変換させる自動化が始まっています。
しかしながら飲食料品製造業では、食品の細かな加工や不良品を仕分けるなどの作業が必要な観点から、自動化の導入が困難です。
機械による自動化が難しいため、人材の確保が不可欠となっています。
二つ目の原因が、工場の海外移転が難しいという点です。
人材不足の解消に、自動化のほか、工場の海外移転をするという選択肢もあります。
しかし、食品の鮮度・賞味期限の観点から、食品工場を海外移転することは困難です。
上記の理由から、飲食料品製造業における慢性的な人材不足を解消すべく、特定技能「飲食料品製造業」が創設されました。
受け入れ人数
出入国在留管理庁によると、2022年12月時点での特定技能「飲食料品製造業」による外国人受け入れ人数は、42,505人となっています。
特定技能「飲食料品製造業」の42,505人という人数は、特定技能に指定されている12分野全体の中でも32.5%を占めており、最も受け入れ人数が多い分野です。
受け入れ外国人の国籍はアジア国籍が最も多く、国別だとベトナム人が30,714人と最も多くなっています。
ベトナム人以外には、中国人が3,233人、インドネシア人が2,940人と続いています。
出典:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数」
https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/nyuukokukanri07_00215.html
特定技能「飲食料品製造業」で従事できる業務
特定技能「飲食料品製造業」で外国人が従事できる業務は、おもに以下の7つです。
-食料品製造業
-清涼飲料製造業
-茶・コーヒー製造業(清涼飲料を除く)
-製氷業
-菓子小売業(製造小売
-パン小売業(製造小売
-豆腐・かまぼこ等加工食品小売業
また食料品製造業については、以下のようにさらに細かく分野が分けられます。
-畜産食料品製造業
-水産食料品製造業
-野菜缶詰
-果実缶詰
-農産保存食料品製造業
-調味料製造業
-糖類製造業
-精穀・精粉業
-パン・菓子製造業
-動植物油脂製造業
-その他の食料品製造業
従事できない業務
外国人がパック詰め、検品、箱詰め、運搬業務のみに従事することは許可されていません。
あくまで、食料品製造業や清涼飲料製造業などの製造業務をメインとしている必要があるからです。
いっぽうで、パック詰め、検品、箱詰め、運搬業務をメイン業務とは別の付随業務として従事することは許可されています。
しかしこれらの付随業務は、日本人社員が通常業務としておこなっている必要があるため注意が必要です。
出典:農林水産省「特定技能・飲食料品製造業分野に関するQ&Aについて」
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sanki/soumu/attach/pdf/tokuteiginou-31.pdf
雇用形態・期間
特定技能「飲食料品製造業」で外国人を受け入れる際は、直接雇用のみが許可されています。
派遣形態などで雇用することはできないため注意が必要です。
また、給与水準や福利厚生などの待遇面も日本人社員と同等以上でなければいけません。
外国人だからといって日本人より低賃金で雇用することはできません。
雇用期間については、特定技能での就労は原則5年までとなっています。
外国人が特定技能「飲食料品製造業」を取得するには
特定技能「飲食料品製造業」の在留資格を取得するためには、いくつかの条件をクリアしなければなりません。
ここでは外国人が特定技能「飲食料品製造業」を取得する条件をご紹介します。
飲食料品製造業技能測定試験に合格
まず「飲食料品製造業技能測定試験」に合格する必要があります。
技能測定試験とは、食品等の衛生的な取り扱い方や、HACCPに沿った衛生管理に対応できるかどうかの専門性が問われる試験です。
試験は、学科試験と実技試験で構成されています。
試験の具体的な内容は以下となっています。
-食品安全・品質管理の基本的な知識
-一般衛生管理、製造工程管理について
-HACCPによる衛生管理
-労働安全衛生についての知識
日本語試験に合格
技能測定試験のほか、日本語試験の合格も必須です。
日本語試験には、「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験(N4以上)」があり、どちらかに合格しなければなりません。
日本語能力試験には5つのレベルがあり、N4以上のレベルに合格しなければいけません。
N4以上のレベルとは、日常生活において基本的な日本語を理解できるレベルです。
国際交流基金日本語基礎テスト、日本語能力試験どちらの試験も、1年に数回開催されるため、本人に合った日程や場所で受験することができます。
飲食料品製造業分野の2号技能実習を修了
前途した技能測定試験、日本語試験に合格するほか、飲食料品製造業分野の2号技能実習を修了することで、特定技能へ移行することが可能になります。
2号技能実習とは、外国人が母国に専門技術を持ち帰ることを目的とした在留資格です。
2号技能実習の飲食料品製造業分野を修了した場合、上記の試験を受けることなく特定技能へ移行することができるというメリットがあります。
特定技能「飲食料品製造業」で外国人を受け入れる要件
特定技能「飲食料品製造業」で外国人を採用する際は、いくつかの要件をクリアすることが義務づけられています。
それぞれ詳しく解説します。
支援体制の構築
特定技能「飲食料品製造業」で外国人を受け入れる場合、支援計画の作成と実施が必須です。
支援計画とは、外国人が仕事や日常生活をスムーズに送れるようにすることが目的となっています。
支援計画に必要な項目はおもに以下です。
-事前ガイダンス
-出入国する際の送迎
-住居確保・生活に必要な契約支援
-生活オリエンテーション
-公的手続等への同行
-日本語学習の機会の提供
-相談・苦情への対応
-日本人との交流促進
-転職支援
-定期的な面談・行政機関への通報
支援計画の実施は、受け入れ企業でおこなうこともできますが、外国人を受け入れたことがないなどの場合は、登録支援機関に委託することも可能です。
農林水産省が指定している4つの受け入れ要件を満たす
支援計画の実施以外に、農林水産省が指定している以下の4つの要件を満たしている必要があります。
-「食品産業特定技能協議会」の構成員になること
-同協議会に対し、必要な協力を行うこと
-農林水産省が主導する調査に必要な協力を行うこと
-支援を委託する場合には、上記の1ー3を満たしている登録支援機関に委託すること
まず、外国人を初めて受けれてから4か月以内に「食品産業特定技能協議会」に加入しなければなりません。
食品産業特定技能協議会へ加入後は、協議会へ現況調査などの活動への協力が義務づけられます。
また、農林水産省が運営する調査などへの協力が求められた際は応じる必要があります。
最後に、前途した支援計画の実施を登録機関へ委託する場合は、上記1ー3を満たした登録機関を選ばなければならないので、注意が必要です。
特定技能「飲食料品製造業」で外国人を採用する費用
外国人を採用する際には、どれくらいの費用がかかるのか把握しておくことも需要です。
特定技能「飲食料品製造業」で外国人を受け入れる際は、以下の費用が発生します。
-人材紹介料…およそ30万円
-在留資格の申請・変更手続き…およそ10万円
-支援費…およそ2~3万円/月
まず、外国人を採用する際に発生するのが「人材紹介料」です。
受け入れ企業で外国人を募集することもできますが、外国人の母国語での求人作成や採用活動が求められるなど、比較的難易度が高いです。
そのため、人材紹介会社を活用するのが一般的な採用活動となります。
受け入れる外国人が見つかったら、次は在留資格の取得が必要です。
在留資格の取得には、多くの書類や専門的な手続きが発生します。
自社でおこなうにはかなり難しい手続きとなるため、専門業者に委託するのが一般的です。
最後に支援費用についてです。
支援費用とは、前述した支援計画の実施の際に発生する費用となります。
支援計画は、要件を満たした職員がおこなう必要があり、登録支援機関へ委託することが可能です。
そのため、毎月2~3万円ほどの支援費がかかることが予想されます。
特定技能「飲食料品製造業」まとめ
特定技能「飲食料品製造業」とは、外国人が飲食料品の製造分野において日本で就労することができる在留資格です。
この制度は、自動化が進みづらく、工場の海外移転が難しいという点から人手不足が加速している飲食料品製造業の救済のために創設されました。
特定技能「飲食料品製造業」で従事できる業務は、食料品製造業、清涼飲料製造業などおもに7つの業務に分けられます。
外国人受け入れの際は、農林水産省が指定している4つの受け入れ要件や費用が発生します。
また、受け入れる外国人は飲食料品製造業技能測定試験、日本語試験に合格する必要があります。
飲食料品製造業における人手不足の解消に、特定技能制度での外国人受け入れをぜひ活用してみてはいかがでしょうか。
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